先代から引き継いだ社員のスキルをどう把握するか — 属人化・暗黙知の可視化

先代から引き継いだ社員のスキルをどう把握するか — 属人化・暗黙知の可視化

先代から引き継いだ社員のスキルをどう把握するか — 属人化・暗黙知の可視化

この記事のポイント
  • 事業承継で引き継いだ組織では、「誰が何をできるか」が前オーナーの頭の中にしか無いことが多い
  • この状態を放置すると、特定社員の退職・異動で組織の能力が突然失われるリスクがある
  • 解決の手段は、職種ごとの必要スキル水準を基準にしたスキルマップによる可視化
  • スキルマップに人数制約はなく、小規模な承継先でもそのまま使える

⚠️ 本記事は一般的な考え方の整理です。自社の状況に応じた進め方は、専門家(社会保険労務士等)にもご確認ください。


1. 承継後に直面する「属人化」という壁

事業承継・買収で会社を引き継ぐと、後継者や新経営陣は「この社員が何をできるのか」を前オーナーに聞かないと分からないという状態からスタートすることが少なくありません。長年の勘と経験で人員配置を決めていた前オーナー体制では、スキルが個人の記憶の中にしか存在せず、書類として引き継がれていないためです。

この「属人化」は、平時であれば気づかれにくい問題です。しかし承継のタイミングでは、ベテラン社員の退職や役割変更が同時に起こりやすく、その社員にしか分からなかったスキル・ノウハウが一気に失われるリスクが顕在化します。

2. 暗黙知を「スキル項目」として明文化する

この課題への現実的な対処法は、社員それぞれが持つ暗黙知を、職種別のスキル項目として明文化・可視化することです。「誰が何をできるか」が一覧化されると、次のようなことが可能になります。

  • 特定の社員が抜けた場合に、何が失われるかを事前に把握できる
  • 後継者自身が、組織の実力を正確に把握した上で配置・育成の判断ができる
  • 計画的にスキルの引き継ぎ・育成を進められる

ゼロからスキル項目を設計するのは数週間〜数ヶ月かかる負担の大きい作業ですが、業種・職種別に用意されたテンプレートを使えば、選ぶだけでスキルマップを作成できます(詳しくはスキルマップ作成を劇的に簡単にするテンプレートの「後継者育成とナレッジの継承」の章で解説しています)。

3. 承継直後に確認すべき3つの観点

観点 確認すること
誰が何をできるか 職種別の必要スキル水準に対して、各社員の保有スキルはどの程度か
特定の社員に集中していないか 特定のスキルを持つ社員が1人しかいない状態(=属人化)はどこにあるか
育成の優先順位 承継後の事業運営に必要だが、社内に不足しているスキルは何か

この3点を可視化した上で、不足しているスキルについては研修管理と連動させて育成計画を立てる、という流れが現実的です。

4. 組織の状態を、より広く把握したい場合

スキルの可視化は「誰が何をできるか」という観点ですが、これに加えて組織全体の不調・偏りの傾向(10名以上が対象)や、日々のコンディションの変化、部下との関係構築もあわせて把握したい場合は、事業承継で会社を引き継いだら、まず組織の何を可視化すべきかで4つの観点を整理しています。

🔴 個人のストレスチェック結果は、経営者を含む会社側には開示されません(労働安全衛生法66条の10)。スキルマップと組み合わせて組織を把握する場合も、個人のSC結果とスキル情報を結びつけることはできません

COCKPITOSでできること

COCKPITOSのスキルマップは、職種ごとの必要レベルを基準に保有スキルの適合度を可視化し、適材適所の配置と根拠のある育成計画につなげます。研修管理とも連動できます。詳しくは企業向けサービスページ(スキルマップ)をご覧ください。個別のご相談はお問い合わせからご連絡ください。

まとめ

事業承継で引き継いだ組織では、「誰が何をできるか」が前オーナーの頭の中にしか無い属人化状態から経営が始まることが少なくありません。ベテラン社員の暗黙知をスキル項目として明文化・可視化することで、退職・異動によるナレッジ喪失を防ぎ、根拠のある配置・育成判断につなげられます。スキルマップには人数制約が無く、小規模な承継先でもすぐに着手できる手段です。

✍️ この記事を書いた人

一木 信輔 | COCKPITOS株式会社 代表取締役CEO

社会保険労務士/精神保健福祉士・ストレスチェック実施者10年。各媒体で違う角度から発信しています。フォローはこちら:

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