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ストレスチェック受検率を上げる実務ガイド — 低受検率の原因と8つの改善策

ストレスチェック受検率を上げる実務ガイド — 低受検率の原因と8つの改善策

はじめに

ストレスチェックを実施しているが「受検率が60%を超えない」「毎年同じ人が受けていない」という悩みを持つ人事担当者は少なくありません。

受検率が低いと、集団分析の信頼性が下がる(対象者の10名未満を割り込む集団が増える)・高ストレス者の見逃しリスクが上がる・法令の趣旨である「全員参加による職場環境改善」が機能しないといった問題が生じます。

厚生労働省は受検率の目標を90%以上としていますが、実態として50〜70%台で推移している企業も多く、改善は多くの現場で課題になっています。

本記事では、受検率が低くなる構造的な原因と、実務で使える8つの改善策を解説します。


1. 受検率が低くなる構造的な原因

まず「なぜ受けないのか」を把握しないまま対策しても効果は出ません。低受検率の主な原因は以下の4つです。

原因 1: 実施を知らない・方法が分からない

「ストレスチェックをやっていることを知らなかった」という従業員は意外に多くいます。特に現場業務が多く、メールを見る頻度が低い従業員は見逃しやすい。

原因 2: 「受けたくない」心理的抵抗

  • 「高ストレス判定が出たら何か不利になるのでは」という誤解
  • 「上司に内容が見られるのでは」という匿名性への不信
  • 「面倒くさい」「忙しいので後回し」

原因 3: 実施環境の問題

  • 紙のマークシートを職場で配布・回収するタイプは記入・提出の手間が大きい
  • スマートフォンやPCでの実施が用意されていない
  • 実施期間が短すぎる(1〜2週間)

原因 4: 受けないことへの「プレッシャーがない」

努力義務のため、受けなくても直接的なペナルティがない。管理職から「受けなくていい」という雰囲気が出ていることもある。


2. 受検率を上げる8つの改善策

改善策 1: 実施前の多チャネル告知

告知をメール1本で済ませているケースが多いですが、以下の複数チャネルで周知します。

チャネル タイミング 内容
全社メール 実施2週間前 期間・方法・匿名性の説明
朝礼・部門ミーティング 実施1週間前 管理職から口頭案内
社内掲示板・イントラネット 実施期間中 QRコード・アクセス方法
リマインドメール 期限5日前 未受検者へ個別または一斉送信

特に現場勤務者(製造・物流・店舗)は紙の案内 or QRコードが有効です。

改善策 2: 匿名性と不利益取扱いの禁止を明示する

「受けても不利にならない」「結果が上司に見られない」ことを、管理職経由で口頭でも伝えます。

告知文の例(事実に基づく):

「ストレスチェックの個人結果は、本人が同意しない限り事業者(会社・上司)に開示されません。受検の有無や結果が評価・処遇に使われることは法律で禁止されています(労働安全衛生法第66条の10第3項)。」

この一文を追加するだけで、心理的障壁が下がります。

改善策 3: 受検しやすい環境・方法を整える

課題 改善策
PCがない従業員がいる スマートフォンでも受検できるシステムを採用
職場のPCで受検しにくい(上司に見られる不安) 個人スマートフォンや自宅PCでの受検を可能にする
マークシートの提出が面倒 Web方式への移行(提出・集計が自動化)
実施期間が短い 最低3〜4週間確保する

改善策 4: 管理職を「受検推進者」として巻き込む

管理職が「ストレスチェックを受けることは重要だ」というメッセージを出すかどうかは、受検率に大きく影響します。

管理職向けの依頼内容: - 部門ミーティングで「今期のストレスチェックは○月○日〜○月○日に実施中」と案内する - 「私も受けた」と実施した事実を伝える(強制はしない) - 期間終了1週間前に部署の受検状況(個人特定なし・集計のみ)を確認し、未受検者が多ければ声がけする

改善策 5: 受検率を「見える化」して組織全体の関心を高める

部署別の受検率(個人特定なし)を集計し、月次で管理職に共有します。「部署別受検率ランキング」を掲示することで、自然な競争意識が生まれることがあります。

ただし、「受検率が低い部署を責める」形にならないよう、「全社平均と比べた傾向」としてポジティブに伝えることが重要です。

改善策 6: 受検しなかった理由を調査する

受検期間終了後、未受検者(個人特定なし・任意)に「受けなかった理由」を短いアンケートで聞きます。

  • 実施を知らなかった → 告知方法の改善
  • 方法が分からなかった → マニュアル・QRの改善
  • 心理的抵抗があった → 匿名性説明の強化
  • 忙しかった → 実施期間の延長・時期の見直し

翌年以降の改善に直結する情報が得られます。

改善策 7: 実施時期を繁忙期から外す

ストレスチェックの実施時期を繁忙期(決算期・年末など)に設定しているケースがあります。「受けようとしたが忙しくて後回しになった」という理由は構造的なものです。

実施時期を比較的業務が落ち着く時期(例:6〜7月、10〜11月)に設定し直すことも有効です。

改善策 8: 受検後のフォローを「見える化」する

「受けても何も変わらない」という体験が続くと、翌年以降の受検意欲が下がります。

集団分析結果をもとにどんな改善アクションをとったか、次の期に従業員に報告します。

「昨年の集団分析で業務量スコアが低かった部門A・Bについて、今年度は業務フローの見直しと残業時間の抑制措置を実施しました。」

「受検 → 分析 → 改善 → 報告」のサイクルが見えることで、受検の意味が実感でき、翌年の受検率向上につながります。


3. 受検率別の対応優先順位

現状の受検率 優先対応
50%以下 告知方法・実施環境の根本的な見直し(改善策1・3)
60〜70%台 管理職の巻き込み・匿名性説明の強化(改善策2・4)
80%前後 繁忙期回避・実施後フォローの改善(改善策7・8)
90%以上 維持フェーズ。受検率より集団分析の精度向上へ

まとめ

改善策 主な対象課題
多チャネル告知 「知らなかった」問題
匿名性・不利益取扱い禁止の明示 心理的抵抗
受検環境の整備(スマホ対応等) 実施方法の問題
管理職の巻き込み 職場の雰囲気
受検率の見える化 組織的な関心の欠如
未受検理由の調査 翌年改善の根拠収集
繁忙期回避 タイミングの問題
受検後フォローの見える化 「受けても意味がない」感

受検率向上は「強制」ではなく、「受けやすくして、受ける意味を伝える」ことで達成されます。複数の改善策を組み合わせ、翌年度以降に向けて継続的に改善サイクルを回すことが重要です。

集団分析の結果活用についてはストレスチェック集団分析後の職場改善措置もご覧ください。

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