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小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル解説 — 令和8年2月公表の厚労省マニュアルで50人未満の義務化準備を進める

小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル解説 — 令和8年2月公表の厚労省マニュアルで50人未満の義務化準備を進める

はじめに

令和7年(2025年)5月14日、労働安全衛生法が改正され、これまで努力義務にとどまっていた50人未満事業場のストレスチェック実施が義務化されることが決まりました。施行は公布から3年以内、令和10年(2028年)を目標としています。

これを受けて厚生労働省は令和8年(2026年)2月25日、「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しました。50人未満の事業場が円滑に制度を導入できるよう、準備手順・実施体制・プライバシー保護の方法が具体的に示されたガイドラインです。

本記事では、このマニュアルの主要ポイントを整理し、今から取り組むべき準備をわかりやすく解説します。


1. 法改正の背景と義務化スケジュール

なぜ50人未満にも義務化されるのか

従来のストレスチェック義務化(平成27年12月施行)は、常時50人以上の労働者を使用する事業場が対象でした。しかし日本の事業場の約97%は50人未満であり、精神障害による労災認定件数が増加し続ける中で、小規模事業場のメンタルヘルス対策の空白が課題となっていました。

義務化スケジュール

時期 内容
令和7年5月14日 改正労働安全衛生法公布
令和8年2月25日 小規模事業場向け実施マニュアル公表
令和8年度〜 周知・準備支援期間
令和10年(2028年)頃 義務化施行(施行日は政令で確定)

2. マニュアルの全体構成

厚労省マニュアルは「準備段階 → 実施段階 → 事後対応段階」の3段階で構成されており、各段階で事業者・実施者・労働者それぞれが担う役割が明示されています。

段階 主な内容
準備段階 事業者の方針表明、労働者の意見聴取、社内ルール(規程)の整備
実施段階 実施者の選定・委託、調査票の選択、受検の周知と実施
事後対応段階 結果の通知、高ストレス者への面接指導、集団分析と職場改善

3. 準備段階:3つのステップ

ステップ1:事業者が方針を表明する

経営者・代表がメンタルヘルス対策への取り組み方針を文書化し、全従業員に周知します。特に重要なのはプライバシー保護の約束です。「ストレスチェックの結果を人事評価や不利益な処分に使わない」ことを明示することで、従業員の受検意欲が高まります。

ステップ2:労働者の意見を聴取する

実施体制や実施方法について、従業員(または従業員代表)の意見を聴きます。小規模事業場では全員参加の場で直接意見を収集する方法も有効です。意見聴取の記録は保管してください。

ステップ3:社内ルール(規程)を作成・周知する

以下の事項を含む社内ルールを作成します。

  • 実施体制(実施者・担当者・外部委託先)
  • 個人情報の管理方法(誰がアクセスできるか)
  • 不利益取扱いの防止に関するルール
  • 高ストレス者への対応フロー

4. 50人以上事業場との主な違い

産業医不在への対応

50人以上事業場では産業医の選任が義務付けられていますが、50人未満では産業医を置かないケースが大半です。マニュアルでは産業医不在時の代替手段として、地域産業保健センターの活用を推奨しています。

集団分析の扱い

職場環境改善に有効な集団分析は、受検者が10人未満の部署では全員の同意がない限り実施しないことが原則とされています。事業場全体の従業員が10人未満の場合、集団分析は任意扱いとなります。

外部委託が推奨される理由

小規模事業場では社内で個人情報を管理すると個人特定リスクが高まります。マニュアルは、プライバシー保護の観点から外部機関へのストレスチェック業務委託を推奨しています。

項目 50人以上事業場 50人未満事業場(マニュアル)
産業医 選任義務あり 選任義務なし(努力義務)
集団分析 義務化 10人未満は原則不可
実施体制 社内実施が一般的 外部委託を推奨
支援機関 産業医中心 地域産業保健センター

5. 地域産業保健センターの活用

地域産業保健センター(地産保)は、都道府県内の医師会等が厚生労働省の委託を受けて運営する産業保健サービス機関です。50人未満事業場を主な対象として、無料で以下のサービスを提供しています。

  • ストレスチェック実施後の高ストレス者への面接指導
  • 産業保健に関する個別相談
  • 職場環境改善のアドバイス

産業医のいない小規模事業場が面接指導の体制を整える上で、地域産業保健センターの活用は実質的な解決策となります。管轄センターは厚生労働省の「産業保健総合支援センター」ウェブサイトから検索できます。


6. ストレスチェックの対象労働者

マニュアルにおける受検対象は以下の通りです。

  • 期間の定めのない労働契約(正社員)で使用される労働者
  • 1年以上の契約期間で使用される労働者
  • 通常の労働者の週所定労働時間の4分の3以上を働くパート・アルバイト

なお、労働者に受検義務は課されていません。受検は労働者の任意であり、受検しないことを理由に不利益な扱いをすることは禁じられています。


7. 面接指導のフロー

高ストレスと判定された労働者が面接指導を希望する場合のフローは以下の通りです。

  1. 実施者(または外部委託先)が高ストレス者に結果通知
  2. 労働者が面接指導を申し出る(医師への相談を勧奨)
  3. 事業者が医師(地産保)に面接指導を依頼
  4. 面接指導の実施(おおむね1ヶ月以内)
  5. 医師から事業者へ就業上の意見提出
  6. 必要に応じて就業上の措置(時間短縮・配置転換等)

重要なのは「面接指導の申し出・受診」を理由にした不利益取扱いは法的に禁止されており、守秘義務違反には罰則が伴うという点です。


8. コストと助成金

外部委託のコスト目安

ストレスチェックの外部委託費用は、1人あたり数百円〜数千円が目安です。事業場規模や委託内容によって異なります。

活用できる支援制度

  • 健康経営推進助成金(都道府県・市区町村によって内容が異なる)
  • 小規模事業場産業保健活動支援助成金(厚労省):産業保健活動の実施に要する費用の一部を補助
  • 地域産業保健センターの無料サービス:面接指導・相談は費用負担なし

9. 今から何をすべきか

2028年の義務化施行まで、令和8年度から周知・準備支援が始まっています。以下のロードマップで計画的に準備を進めてください。

時期 取り組み
令和8年度(2026年) マニュアルを読み込む、外部委託先候補のリストアップ
令和9年度(2027年) 社内ルール(規程)の整備、従業員への周知・試行実施
令和10年度(2028年) 義務化施行・本格実施

まとめ

厚労省の小規模事業場実施マニュアルが示すポイントは以下の3点です。

  1. 外部委託でプライバシーを守る — 社内管理は個人特定リスクが高い
  2. 地域産業保健センターを活用する — 産業医不在でも面接指導は実施可能
  3. 今から規程と体制を整備する — 2028年義務化に向けた計画的な準備

ストレスチェックの実施から面接指導対応まで、COCKPITOSでは精神保健福祉士(実施者資格)と社会保険労務士の両資格を持つ代表が実施者として対応する一気通貫サービスを提供しています。50人未満事業場の義務化対応についてもご相談ください。詳しくは無料相談・お問い合わせからご連絡ください。

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