外国人従業員のストレスチェック対応ガイド — 多言語対応と法令上の義務を正しく理解する
はじめに
外国人従業員が増えている職場で「ストレスチェックは日本語でしか実施できないのか」「外国語で受検させないといけないのか」という疑問を持つ担当者は少なくありません。
結論から言えば、法令はストレスチェックの言語を日本語に限定していません。ただし、理解できない言語で受検しても正確な結果は得られないため、外国人従業員が在籍する事業場では多言語対応が事実上必要です。
本記事では、外国人従業員のストレスチェック対応における法令上の考え方、実務的な対応方法、そして多言語受検を実現するための選択肢を解説します。
1. 法令上の考え方
外国人従業員への適用義務
労働安全衛生法に基づくストレスチェックの義務は、日本国内で働くすべての労働者に適用されます。外国人従業員も当然に対象です。国籍・在留資格の種類にかかわらず、事業場の従業員カウントに含まれます。
言語についての規定
厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」は、使用する調査票の言語について「日本語以外を認めない」とは定めていません。ただし、公式に示されている標準調査票は日本語版であり、多言語版は「補助的な手段」として位置づけられます。
実務上の考え方: - 日本語で十分に理解できる外国人従業員 → 日本語版で問題なし - 日本語の理解が不十分な外国人従業員 → 多言語版の提供または日本語版への通訳サポートが必要
受検させないことのリスク
外国語対応を怠り、言語障壁により外国人従業員が実質的に受検できない状態にした場合、事業者が義務を果たしていないと見なされるリスクがあります。また、高ストレス状態にある外国人従業員を見逃すことで、メンタル不調・離職・労災につながる可能性があります。
2. 実務上の課題
課題 1: 調査票の理解度
57項目版の職業性ストレス簡易調査票は、日本語の微妙なニュアンスを含む表現が多く、日本語能力が中級以下の従業員には理解が難しい項目があります。「気力がわかない」「朗らかで楽しい」といった表現は、直訳しても意味が通じないケースがあります。
課題 2: 結果の解釈と面談
高ストレスと判定された外国人従業員への面接指導は、通訳を介するかバイリンガルの産業保健スタッフが対応する必要があります。通訳なしの面接では、ストレスの背景にある問題(職場内の言語コミュニケーション困難・文化的ギャップ・在留資格への不安)を正確に把握できません。
課題 3: 受検案内の理解
実施の告知・受検方法の説明・結果の通知についても、日本語のみでは外国人従業員に届かない可能性があります。
3. 多言語対応の選択肢
選択肢 1: 多言語対応システムの使用
ストレスチェックシステムの中には、調査票を複数言語で提供できるものがあります。主要な対応言語の例:
| 言語 | 対応が必要な業種・地域の例 |
|---|---|
| 英語 | 外資系企業・IT・研究職 |
| 中国語(簡体字・繁体字) | 製造業・飲食・小売 |
| ベトナム語 | 製造業・農業・介護 |
| タガログ語 | 介護・医療・サービス業 |
| ポルトガル語 | 製造業(ブラジル系コミュニティ) |
| インドネシア語 | 製造業・農業・介護 |
多言語対応システムを使用する場合でも、調査票の質問内容が信頼性のある翻訳であることを実施者が確認することが重要です。
選択肢 2: 翻訳版調査票 + 紙実施
翻訳版の調査票を用意し、紙で実施する方法です。外国語対応システムがない場合の代替手段ですが、集計の手間と誤記入リスクがあります。翻訳の質については、単純機械翻訳ではなく、産業保健領域に精通した翻訳者が対応したものを使用してください。
選択肢 3: バイリンガルスタッフによるサポート
調査票は日本語版を使用しつつ、受検前に社内のバイリンガルスタッフが問いの意味を説明するセッションを設ける方法です。簡易的な対応ですが、設問の理解度を上げる効果があります。
4. 受検率を上げる工夫
外国人従業員の受検率は、日本語従業員と比べて低くなりがちです。以下の工夫で改善できます。
工夫 1: 告知・案内の多言語化
受検案内メールやポスターを従業員の母国語で用意します。特に以下の3点は必ず多言語化します: - ストレスチェックの目的(「強制ではない」「結果が上司に見られない」) - 受検方法(URLまたは紙の入手方法) - 期限
工夫 2: 管理職へのブリーフィング
外国人従業員の直属管理職(特に言語が通じる場合)に対して、「外国人メンバーへの声がけをお願いしたい」とブリーフィングします。
工夫 3: 母国語での個別フォロー
期限の1週間前に未受検の外国人従業員に対して、可能であれば母国語でリマインドを送ります。
5. COCKPITOSの多言語対応
COCKPITOSのストレスチェックシステムは、以下の言語での受検に対応しています。
- 日本語
- 英語
- 中国語(簡体字・繁体字)
- ベトナム語
- タガログ語
- ポルトガル語
- インドネシア語
- タイ語
- 韓国語
- ミャンマー語
合計10言語での受検が可能であり、同一の事業場に複数国籍の従業員が混在する場合でも、1つのシステムで一元管理できます。
また、COCKPITOSでは社会保険労務士資格を持つ実施者がストレスチェックを担当するため、外国人従業員の労務管理上の課題(在留資格・労働時間管理・不利益取扱い防止)についても実施者として適切なアドバイスができます。
まとめ
| 対応項目 | ポイント |
|---|---|
| 法令上の義務 | 外国人従業員も受検義務の対象(言語制限なし) |
| 多言語対応の必要性 | 理解できない言語での受検は意味をなさない |
| 対応選択肢 | 多言語システム / 翻訳版調査票 / バイリンガルサポート |
| 受検率向上 | 案内の多言語化・管理職への依頼・個別リマインド |
| 面接指導 | 通訳またはバイリンガルスタッフが対応 |
外国人従業員のメンタルヘルスケアは、義務対応だけでなく「職場定着・離職防止」にも直結します。言語対応は「コストのかかる対応」ではなく、「定着率を高めるための投資」として位置づけることが重要です。
ストレスチェックの全体的な実施手順については初めてのストレスチェック完全ガイドもご覧ください。
COCKPITOSのストレスチェックサービスでは、10言語対応の多言語受検と、社会保険労務士資格を持つ実施者によるサポートを提供しています。詳しくは無料相談・お問い合わせからご連絡ください。