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50名未満事業所のストレスチェック義務化(2028年4月)完全準備ガイド — コスト試算・実施体制・従業員対応まで

50名未満事業所のストレスチェック義務化(2028年4月)完全準備ガイド — コスト試算・実施体制・従業員対応まで

はじめに

2026年5月、厚生労働省は2028年4月から50名未満の事業所にもストレスチェックを義務化する施行時期を正式に明示しました。現時点から施行まで約23ヶ月。「まだ先の話」に見えますが、実施体制の整備には半年〜1年単位の準備が必要です。

特に50名未満の中小企業では「産業医がいない」「ストレスチェックの実施者をどうするか分からない」「費用がどのくらいかかるのか」という壁に直面するケースが多くなります。

本記事では、50名未満事業所の人事担当者・経営者が2028年4月の義務化に向けて今すぐ取り組むべきことを、コスト試算・体制構築・従業員対応まで具体的に解説します。

法改正の経緯・概要については50人未満事業所もストレスチェック義務化へ ― 2028年4月スタート確定を参照ください。本記事は「どう準備するか」に特化した実務ガイドです。


1. まず確認すること:自社の義務化対象か

1-1. 「50名未満」の数え方

常時使用する労働者数で判断します。

カウントに含む カウントしない
正社員 派遣労働者(派遣元でカウント)
契約社員(週30時間以上) 業務委託・フリーランス
パート・アルバイト(週30時間以上) 産休・育休中(期間によって異なる)

注意: 複数の事業所を持つ企業は事業所単位でカウントします。本社50名・支社20名の場合、支社は従来「努力義務」でしたが、2028年4月以降は支社でも義務化されます。

1-2. グループ会社の扱い

親会社・関連会社は別々の事業者として扱います。グループ全体で100名いても、各社ごとに判断します。


2. 実施体制の構築:誰が実施するか

ストレスチェック制度では「実施者」の存在が必須です。医師・保健師・または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士が実施者になれます。

2-1. 選択肢の比較

方法 費用目安 メリット デメリット
外部機関(EAP・専門業者)に委託 1,000〜3,000円/人 手間が少ない、専門性が高い コストが継続発生
社労士事務所経由で委託 要見積もり(社労士報酬に込みのケースも) 普段から付き合いがある、労務管理と一体で対応 事務所によって対応の差がある
産業医を新たに選任 月3〜5万円(小規模の場合) 医師が直接関与 費用が高く、50名未満では過剰な場合も
保健師・看護師を研修受講させ実施者に 研修費用2〜5万円(1回) 内製化でコスト削減 有資格者がいることが前提

50名未満企業に最も現実的な選択: 既存の社労士事務所への相談、またはストレスチェック専門の外部委託機関の利用が多い傾向にあります。

2-2. 産業医について

50名未満の事業所は産業医の選任義務がありません。ただし、ストレスチェックで高ストレス者が出た場合の「面接指導」には医師(産業医)が必要です。

外部委託機関の多くは面接指導まで含めたプランを提供しているため、セットで契約するのが手間を減らす近道です。


3. コスト試算:何にいくらかかるか

30名規模の事業所を例にコストを試算します。

3-1. 外部委託の場合

費用項目 費用目安
ストレスチェック実施(受検・集計) 1,500円 × 30名 = 45,000円/回
高ストレス者面接指導(医師) 15,000〜30,000円/名(発生時のみ)
集団分析レポート 10,000〜30,000円/回
合計(面接指導1名発生として) 約7〜10万円/年

3-2. 社労士経由の場合

多くの社労士事務所では、顧問契約に「ストレスチェック支援」を追加する形で対応しています。

費用項目 費用目安
社労士顧問費用(既存契約に含む場合) 0円(追加なし)〜 +1〜2万円/月
ストレスチェック実施ツール 3〜10万円/年(ツール費用)
高ストレス者対応 別途

3-3. コスト削減のポイント

  • 共同実施: 同じ地域の中小企業複数社でまとめて委託すると単価が下がる場合がある(商工会議所・業界団体経由のプランを確認)
  • ストレスチェック実施システムの活用: 紙ではなくWEBシステムを使うことで回収・集計コストが削減できる
  • 社労士との既存契約の活用: 顧問社労士がいる場合は、まず相談して追加コストを確認する

4. 実施スケジュールの設計

義務化は毎年1回以上の実施です。実施時期は義務付けられていませんが、一般的に年1回、決まった時期に実施することが推奨されます。

4-1. 年間スケジュール例

作業内容
4〜5月 年度始めの実施計画確定、委託先への発注
6〜7月 ストレスチェック実施(受検期間:2〜4週間)
7〜8月 結果通知、高ストレス者への面接指導案内
8〜9月 面接指導の実施(希望者)
9〜10月 集団分析の実施・職場環境改善
翌3月まで 所轄労働基準監督署への報告(実施結果)

4-2. 報告義務

実施後は、所轄の労働基準監督署に実施状況を報告する義務があります。現在は50名以上が対象ですが、50名未満も義務化後は同様の報告が必要になる見込みです。


5. 従業員への説明と同意取得

ストレスチェックは本人の受検に同意が必要です(強制はできません)。ただし高受検率を維持することが集団分析の精度に影響するため、従業員への丁寧な説明が重要です。

5-1. 従業員向け説明のポイント

不安・疑問 伝えるべきこと
「結果が会社に筒抜けになるのでは」 個人の結果は本人の同意なく会社には開示されない(法律で保護)
「高ストレスと出たら不利になるのでは」 結果は人事評価・処遇に利用できない(法的禁止)
「受けたくない人は罰則があるのか」 受検は任意。ただし受けることで自分のメンタルヘルスを知る機会になる
「何のためにやるのか」 職場環境の改善につなげるため。個人だけでなく組織全体の健康管理

5-2. 高ストレス者への対応フロー

ストレスチェック受検
        ↓
高ストレスと判定
        ↓
本人に結果通知(本人だけが確認できる)
        ↓
面接指導の申し出案内(本人が希望する場合に限る)
        ↓
本人が申し出た場合 → 医師による面接指導
        ↓
就業上の措置が必要な場合 → 事業者(会社)に通知(本人同意あり)

重要: 高ストレスと判定されても、本人が面接指導を「申し出ない」場合、会社はその事実を知ることができません。個人情報保護の観点から、強制的に面接指導を受けさせることはできません。


6. 結果管理と個人情報保護

ストレスチェックの個人結果は要配慮個人情報に該当します。

6-1. 保存・管理のルール

  • 保存期間: 5年間(実施記録)
  • 管理責任者の指定: 担当者を明確にする
  • アクセス権限の制限: 結果を閲覧できる人を必要最小限に絞る
  • 紙管理の場合: 鍵のかかる場所での保管

6-2. 委託先への確認事項

外部委託する場合、委託先が個人情報を適切に管理しているか確認します。

  • [ ] ISO 27001(情報セキュリティマネジメント)取得済みか
  • [ ] 個人情報保護方針の開示
  • [ ] 委託契約書に個人情報の取り扱い条項があるか
  • [ ] データの保存場所・期間の明示

7. 集団分析の活用

集団分析は、事業所・部署単位でのストレス傾向を集計・分析するものです。10名以上のグループで実施します(10名未満は個人特定のリスクがあるため集計不可)。

集団分析で分かること:

分析項目 活用例
仕事の要求度(ストレス要因) 業務量過多の部署を特定
職場の支援度 上司・同僚サポートが低い部署を特定
活気・生き生きなど エンゲージメント低下の早期兆候

50名未満の事業所では「全社で1グループ」になる場合が多いですが、それでも前年比較や業界平均との比較で傾向を把握できます。


8. よくある疑問 Q&A

Q: 従業員が5名しかいないが、本当に義務化されるのか? A: 2028年4月以降は「常時使用する労働者が1名以上」の全事業所が対象になる方向です。ただし、従業員数が非常に少ない場合の集団分析の扱いなど、詳細は今後の省令・指針で明確化される予定です。

Q: 実施しなかった場合のペナルティは? A: 現在(50名以上の義務化)では、実施報告を怠った場合に50万円以下の罰金があります。50名未満への適用後も同様のペナルティが課される見込みです。

Q: 外国籍の従業員がいる場合はどうすればよいか? A: 質問票を日本語以外に用意する必要があります。外部委託機関によっては多言語版を提供しているところもあります。外国人労働者のストレスチェック対応も参考にしてください。

Q: テレワーク従業員のストレスチェックはどうするか? A: WEB形式での実施が可能です。紙の質問票を郵送するよりもWEBシステムを活用する方が回収が容易です。


まとめ:2028年4月に向けた行動チェックリスト

時期 アクション
今すぐ(2026年) ① 自社の義務対象確認 ② 現在の顧問社労士に相談 ③ 外部委託費用の見積もり取得
2026〜2027年 ④ 実施者・委託先の確定 ⑤ 実施規程・社内ルールの作成 ⑥ 管理職研修(高ストレス者対応)
2027年度中 ⑦ 試行実施(義務化前のリハーサル) ⑧ 従業員への制度説明
2028年4月 義務化スタート ⑨ 正式実施・報告

23ヶ月は長いようで短い。特に実施者・委託先の確保社内ルール整備には時間がかかるため、今年度中に体制の骨格を固めることをお勧めします。

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