2026 年 10 月 1 日更新(訂正):第 2 節で「50 人」の数え方に受検対象者の要件(週の労働時間)を当てはめていた記載と、派遣労働者の数え方を訂正しました。あわせて、実施者の確保と地域産業保健センターの役割、集団分析の人数、社労士事務所の位置づけの説明を見直しました。
はじめに
50人未満事業所のストレスチェックは、2028年4月1日に義務化されることが確定しています。
2026 年 5 月 18 日、厚生労働省は労働政策審議会分科会で、50 人未満事業所のストレスチェックを 2028 年 4 月から義務化する施行期日を明示しました。2025 年 5 月に公布された改正労働安全衛生法の具体的スタート時期がこれで確定したことになります(施行日は 2028 年 4 月 1 日)。
これまで「努力義務」として扱われてきた 50 人未満事業所に、ストレスチェックの実施義務 が課されます。現時点(2026 年 5 月)から施行開始までは 残り約 23 ヶ月。実施体制の構築には半年〜1 年単位の準備が必要なため、今動き出すことが現実的な選択肢になります。
本記事では、50 人未満 ストレスチェック 義務化 開始時期 2026 をテーマに、改正経緯・対象の判定・準備事項・社労士事務所との連携の考え方を整理します。
1. スタート時期と改正の経緯
1.1 確定情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2028 年 4 月 1 日 |
| 対象 | 50 人未満事業場へのストレスチェック実施義務の拡大 |
| 厚労省公表日 | 2026 年 5 月 18 日(労働政策審議会分科会) |
| 改正法 | 2025 年 5 月公布(改正労働安全衛生法) |
| 現時点からの猶予 | 残り約 23 ヶ月(2026 年 5 月時点) |
出典: 厚生労働省 ストレスチェック制度について / Yahoo ニュース 2026/5/18 / 厚生労働省労働政策審議会分科会
1.2 改正の経緯年表
2015 年 12 月 ストレスチェック制度施行(50 人以上義務、50 人未満は努力義務)
2024 年 50 人未満含む全事業所への義務化議論本格化
2025 年 5 月 改正労働安全衛生法 公布
2026 年 5 月 18 日 施行期日「2028 年 4 月」を労働政策審議会分科会で明示
2028 年 4 月 1 日 50 人未満事業場も義務化スタート
「努力」の二文字が外れ、50 人未満の事業場にもストレスチェックの実施義務が課されます。
2. 自社の対象を判断する ― 人数算定と受検対象の 2 段階
判定は ① 事業場の人数算定(その事業場が「常時 50 人以上」か)と、② 個々の労働者の受検対象判定(誰にストレスチェックを実施するか)の 2 段階に分かれます。両者は基準が異なります。
2.1 ① 「50 人」の数え方(事業場の人数算定)
労働安全衛生法上の「常時 50 人以上」は、常態として使用している労働者の数 で判定します。受検対象者のように、契約期間や週の労働時間で絞り込むことはしません。
| 区分 | 人数算定(①) |
|---|---|
| 正社員・契約社員 | 含める |
| パート・アルバイト | 週の労働時間にかかわらず含める(週 1 回勤務でも、継続して雇用し常態として使用していれば含める) |
| 派遣労働者 | 派遣先の事業場でも含める(派遣元でも、自社が雇用する派遣労働者を含めて数える) |
| 役員・取締役 | 労働者に当たらない者は含めない |
2028 年 4 月 1 日以降は 50 人未満の事業場も実施義務の対象になりますが、①の人数は、施行までの現行義務の判定や、労働基準監督署への報告義務(常時 50 人以上の事業者)の判定で引き続き使います。
2.2 ② 受検対象者(誰に実施するか)
事業者がストレスチェックを実施すべき労働者は、次の 両方 を満たす者です。
- 期間の定めのない労働契約で使用される者(契約期間 1 年以上、更新により 1 年以上使用予定、1 年以上引き続き使用されている者を含む)
- 1 週間の労働時間数が、同種の業務に従事する通常の労働者の 1 週間の所定労働時間数の 4 分の 3 以上
1 の要件を満たし、週の労働時間が通常の労働者の概ね 2 分の 1 以上の短時間労働者にも、実施することが望ましいとされています。派遣労働者への実施義務は派遣元 にあります(派遣先も実施し、集団分析に含めることが望まれます)。
2.3 チェックポイント
| # | 確認項目 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 事業場ごとに、常態として使用する労働者(短時間パート・派遣先の派遣労働者を含む)を数えたか | 現行の義務・報告義務の判定に使う |
| 2 | 受検対象者(契約期間・週の労働時間の要件)の名簿を作ったか | 実施義務の対象者を確定する |
| 3 | 50 人を超える可能性(採用計画含む)があるか | 衛生委員会・産業医選任・報告義務など 50 人以上の体制も見据える |
50 人を 境界線で行き来する事業所 は、50 人以上の体制も見据えて準備すると施行後も慌てません。
3. 施行までに準備すべき 5 つのアクション
3.1 アクション 1: 実施者の確保(最優先)
ストレスチェックの 実施者 は、労働安全衛生規則第 52 条の 10 で資格者が限定されています:
- 医師
- 保健師
- 厚生労働大臣が定める研修を修了した 歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師
⚠️ 社会保険労務士の資格だけでは実施者になれません。詳細はストレスチェック実施者の選定基準と社労士事務所連携 を参照。
50 人未満事業所は社内資格者の確保が困難なため、外部の実施者(実施者を含めてサービスを提供する機関、医師・保健師等との個別契約) が現実的です。なお、地域産業保健センターはストレスチェック自体は実施していません(面接指導の依頼先として活用します。3.3 参照)。実施者は施行 3 ヶ月前までに確保しておくことが推奨されます。
3.2 アクション 2: 質問票の選定
国が標準として示す調査票:
- 57 項目版(職業性ストレス簡易調査票): 標準・最も普及
- 80 項目版: 詳細分析向け、回答負荷大
- 23 項目の簡略版の例もあります
法令上は「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の 3 領域を含めばよく、57 項目版は推奨です。50 人未満事業所は 57 項目版 で十分なケースがほとんどです。
3.3 アクション 3: 結果通知・面接指導体制
- 個人結果通知: 実施者から本人へ直接(本人の同意なく事業者には提供されない)
- 高ストレスで、実施者が面接指導を要すると認めた者からの 面接指導申出 の窓口設置(上司を経由せず、外部窓口を介して申し出られる方法も検討)
- 申出時の 医師による面接指導の手配 フロー(産業医がいない事業所は、委託先の医師や地域産業保健センターを活用。地域産業保健センターは、結果に基づく医師の面接指導を依頼に応じて無料で実施可能。利用条件は各センターに確認)
3.4 アクション 4: 集団分析体制(努力義務・人数は受検者数で確認)
集団分析は努力義務ですが、実施しないと改善 PDCA が回りません。50 人未満事業所は:
- 分析単位の人数は、部署の在籍者数ではなく 受検者数 で確認する
- 原則として 10 人以上の単位で実施する(実施指針では、10 人を下回る単位の結果は、対象者全員の同意がない限り事業者に提供しないこととされている)
- 10 人を下回る場合は、事業所全体での集計、複数部署の合算、合計点の集団平均など個人が特定されない方法を検討する(極端に少人数の場合は不適切)
- 社労士事務所と連携して 労務改善視点での読解 を推奨
3.5 アクション 5: プライバシー保護体制
- 労安法 66 条の 10 第 2 項「個人の結果は、本人の同意なく事業者に提供されない」仕組みに沿った運用設計
- 個人結果の保存は実施者または実施事務従事者が行い、事業者はその保存が適切に行われるよう措置を講じる
- 実施事務従事者には、受検者の解雇・昇進・異動に直接の権限を持つ監督的地位にある者を充てない
- 衛生委員会の設置義務がない 50 人未満の事業場では、関係労働者の意見を聴く場を設けて実施方法や社内ルールを決める
4. 50 人未満事業所特有の 3 つのハードル
4.1 ハードル 1: 産業医不在
50 人未満事業所には産業医選任義務がありません。高ストレス者の面接指導が必要になった場合の対応:
- 地域産業保健センター(面接指導を依頼に応じて無料で実施。利用条件・予約は各センターに確認)
- オンライン産業医サービス
- スポット契約可能な産業医
4.2 ハードル 2: 衛生委員会未設置
50 人未満事業所には衛生委員会設置義務もありません。代替として:
- 関係労働者の意見を聴く場(朝礼・定例ミーティング等の活用でも可)
- 集団分析結果の議論場として活用
4.3 ハードル 3: コスト懸念
50 人未満事業所のコスト負担感は大きいですが、以下の選択肢で軽減できる場合があります:
- 地域産業保健センター(面接指導等の公的支援。ストレスチェック自体は実施しない)
- ストレスチェック・面接指導の費用に関する公的助成(最新の募集状況は労働者健康安全機構等で確認)
- 既存の社労士顧問契約への組込み(実施者は資格要件を満たす者が担う)
5. 社労士事務所との連携の考え方
5.1 社労士資格だけでは実施者になれない ― 役割を分けて契約する
繰り返しになりますが、社会保険労務士の資格だけではストレスチェックの実施者になれません。社労士事務所がストレスチェックの支援サービスを提供すること自体は問題ではありませんが、実施者として責任を負うのは資格要件を満たす医師・保健師等(所定研修を修了した有資格者を含む) です。サービスの提供事業者と、実施者を担う資格者を分けて確認してください。
5.2 社労士事務所が価値を発揮できる領域
社労士事務所は、資格者を含む適切な体制のもとで、以下の領域で価値を発揮します:
| 領域 | 内容 |
|---|---|
| 実施者連携窓口 | 実施者・面接指導を行う医師の手配、日程の調整 |
| 集団分析の労務改善活用 | 36 協定見直し、管理職研修提案、1on1 制度導入助言 |
| 意見聴取の場の立ち上げ支援 | 50 人未満事業所での関係労働者の意見聴取・社内ルール作り |
| 法的助言 | 労安法・就業規則・不利益取扱い回避の整合性確認 |
| 50 人到達時の連続性 | 衛生委員会・報告義務など 50 人以上の体制への移行支援 |
5.3 確認ポイント: 「誰が実施者か」を契約で明確に
社労士事務所が「ストレスチェック実施支援」を提供する場合、実施者を誰が担うのか(資格と氏名) を契約段階で確認してください。役割が曖昧な契約は後の紛争原因になります。
6. COCKPITOS の 50 人未満事業所サポート
COCKPITOS のストレスチェックサービス は、50 人未満事業所の義務化対応を支援します。
6.1 実施者対応
COCKPITOS では、所定の研修を修了した精神保健福祉士である代表の一木信輔が実施者を担当します。実施者の資格は精神保健福祉士と所定研修の修了に基づくもので、社会保険労務士の資格によるものではありません。実施者の手配はストレスチェックの標準料金に含まれます。
なお、高ストレス者の 面接指導は医師が行う ものです。医師の手配・面接指導は個別にご相談ください。
6.2 料金
料金は料金ページをご覧ください。事業所の規模や実施方法に応じたお見積りはお問い合わせからご相談ください。
6.3 関連記事
📘 ストレスチェック導入ガイド(PDF・全13ページ)を無料で配布しています
2028年4月の義務化に向けた導入の進め方を1冊にまとめています(厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」(令和8年2月)に基づいて構成)。印刷して社内で回覧したり、上司への説明・稟議の添付資料としてお使いいただけます。料金の記載はありません。
→ ストレスチェック導入ガイドをダウンロード(必要事項を入力すると、その場でPDFを取得できます)
まとめ ― 残り約 23 ヶ月で動き出す
50 人未満 ストレスチェック 義務化 開始時期 2026 のポイント:
- 施行日: 2028 年 4 月 1 日(厚労省 5/18 公表)
- 改正経緯: 努力義務 → 義務化、「努力」が外れる
- 対象の判定は 2 段階: 人数は短時間パート・派遣先の派遣労働者も含めて数え、受検対象は契約期間と週の労働時間(4 分の 3 以上)で判定
- 実施者は医師・保健師・所定研修修了者。社労士資格だけでは実施者になれず、社労士事務所は資格者を含む体制で連携・支援を担う
- 50 人未満特有のハードル(産業医不在・衛生委員会未設置・コスト)は外部リソースで軽減できる
「義務化されてから動く」では実施者契約も体制構築も間に合いません。残り約 23 ヶ月の今、準備を始めることが最も低コストかつ確実な義務化対応 です。
50 人未満事業所での実施体制構築や、社労士事務所との連携設計について検討中の方は、COCKPITOS のストレスチェックサービス または無料相談窓口にお問い合わせください。
関連記事
参考: - 厚生労働省「ストレスチェック制度について」 - 厚生労働省「ストレスチェック制度Q&A」(Q0-12・Q18-1・Q15-1・Q20-1) - 神奈川労働局「ストレスチェック制度」解説資料(人数算定と実施対象者の整理) - 厚生労働省「ストレスチェックの『集団分析』を適切に実施しましょう」(2026年7月) - Yahoo ニュース「50人未満事業所も2028年4月から義務化」(2026/5/18) - 厚生労働省「労働政策審議会安全衛生分科会」