ストレスチェックの外部実施機関の選び方 — 4つの依頼先タイプと契約前の確認観点

ストレスチェックの外部実施機関の選び方 — 4つの依頼先タイプと契約前の確認観点

はじめに

ストレスチェックを外部に依頼するときは、依頼先の「タイプ」よりも、「何が今の契約に含まれ、何が追加費用で、誰が担当するのか」を確認することが大切です。

2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、これまで努力義務だった労働者数50人未満の事業場にも、令和10年(2028年)4月1日からストレスチェックの実施が義務化されます(厚生労働省「労働者数50人未満の小規模事業者の方」)。制度の全体像は厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」にまとまっています。

これから初めて外部に依頼する企業も、今の依頼先を見直す企業も増えると考えられます。本記事では、外部の依頼先をおおまかな4タイプに整理したうえで、契約前に確認したい観点をまとめます。特定の事業者やタイプの優劣を決めるものではありません。

➡ 義務化の全体像はストレスチェック義務化はいつから?2028年4月の全事業所義務化を完全ガイド、現場の疑問はストレスチェック義務化Q&A・50人未満事業所の疑問30問もあわせてご覧ください。


1. 外部依頼先の4つのタイプ

タイプ 主な依頼先の例 よくある提供範囲
A. Webサービス型 ストレスチェックのWebサービス事業者 Web受検・自動集計・個人結果通知・集団分析
B. 産業医依頼型 嘱託産業医・医療機関 実施者としての関与、面接指導、就業上の措置への意見
C. 包括支援型 EAP事業者・人事コンサルティング会社 実施に加え、集団分析結果をもとにした職場改善の支援
D. 紙の事務代行型 健診機関など 調査票の配布・回収・集計

実際には、Webサービス事業者が紙の受検にも対応していたり、健診機関がWeb受検を用意していたりと、タイプの境界ははっきりしていません。費用の相場も規模・オプション・契約形態で大きく変わるため、本記事では一般的な金額は示しません。同じ条件で複数社から見積もりを取り、内訳を並べて比べるのが確実です。

50人未満の事業場で押さえておきたいこと

50人未満の事業場では、医師による面接指導の相談先として、各地の地域産業保健センターを利用できます(こころの耳「ストレスチェック制度について(労働者数50人未満の事業場)」)。外部依頼先を選ぶときは、「面接指導を依頼先が手配するのか、自社で地域産業保健センター等に相談するのか」も合わせて決めておくと、実施後に慌てずに済みます。


2. タイプごとの向き・不向きを考えるときの視点

タイプごとに「どこが得意で、どこを別に手当てする必要があるか」が違います。以下は一般的な傾向で、個々の事業者には当てはまらない場合があります。

2.1 Webサービス型(A)

  • 確認したい点: 実施者を事業者側で用意するのか、自社で確保するのか。面接指導の手配は含まれるか
  • 検討しやすい企業: 受検者の多くがスマートフォンやPCを使える職場、毎年の集計・経年比較の手間を減らしたい企業

2.2 産業医依頼型(B)

  • 確認したい点: 受検・集計の事務を誰が行うか。集団分析の形式と、報告書の作成を含むか
  • 検討しやすい企業: すでに産業医と関係があり、面接指導から就業上の措置まで同じ医師に相談したい企業

2.3 包括支援型(C)

  • 確認したい点: 実施と改善支援の費用が分かれているか。改善支援の中身(研修・コンサルティング等)と担当者
  • 検討しやすい企業: 集団分析の結果を職場改善の取り組みにつなげる体制を、外部の支援も受けて作りたい企業

2.4 紙の事務代行型(D)

  • 確認したい点: 集団分析・経年比較が含まれるか。紙の調査票の保管・返却・廃棄の方法
  • 検討しやすい企業: スマートフォンやPCを使わない職場が多い企業、健診と同じ依頼先にまとめたい企業

3. 契約前の確認観点 — 「含まれるか/追加費用か/誰が担当するか」

各社を比べるときは、次の表を見積もり依頼の際にそのまま使うと便利です。項目ごとに「今の契約に含まれる」「追加費用」「自社で対応」のどれかを埋めていくと、見積金額だけでは見えない違いがはっきりします。

確認項目 含まれるか 追加費用か 誰が担当するか
実施者(医師・保健師、および所定の研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師等、実施者の要件を満たす方)
調査票(職業性ストレス簡易調査票57項目/80項目)の提供
Web受検・紙受検の対応
受検の案内・未受検者へのリマインド
個人結果の本人への通知
高ストレス者の選定と面接指導の申出の勧奨
医師による面接指導の手配
集団分析(部署単位など)と経年比較
労働基準監督署への報告書(50人以上の事業場)の作成支援
結果の記録と保存(保存期間を含む)
契約終了時の記録・データの扱い(引継ぎ・返却・削除)
翌年以降の実施の案内・設定の引継ぎ

法令に関わる確認

個人情報の取扱いに関わる確認

  • 結果データの保管場所・アクセスできる人の範囲
  • 結果の記録を誰が、どの期間保存するか
  • 契約終了時にどの記録を、どの形式で、誰に引き継ぐか

4. 依頼先を乗り換えるときの注意

経年比較のために同じ依頼先で続けることにも意味がありますが、事情があって依頼先を変えることもあります。そのときは、次の点を移行前に今の依頼先と新しい依頼先の双方に確認してください。

  • 持ち出せるデータの範囲: 個人結果・集団分析結果・受検状況のうち、どれが、どんな形式で受け取れるか
  • 帳票の扱い: 過去の個人結果の帳票や集団分析レポートを、どちらがどの期間保存するか
  • 実施者の引継ぎ: 結果の記録の保存は実施者の関与が前提になるため、前の実施者から新しい実施者への引継ぎ方法
  • 経年比較の継続: 前年までの集団分析と、新しい依頼先の集団分析を比べられるか(調査票・集計方法が同じか)

「必ず移行できる」とは限りません。移行できる範囲は依頼先ごとに異なるため、契約前の相談の段階で確認しておくことをおすすめします。


5. よくある選定のつまずきと対策

つまずき1: 見積金額だけで決めてしまう

単価が安くても、集団分析や報告書作成が別料金だったり、自社で行う作業が多かったりすると、全体の負担は大きくなります。

対策: 3章の表で「含まれるか/追加費用か/誰が担当するか」を埋め、自社の作業時間も含めて比べる。

つまずき2: 面接指導の手配を後回しにする

受検と集計は整ったものの、高ストレス者から申出があったときの医師の手配先が決まっていなかった、というケースです。

対策: 契約前に「面接指導を誰に依頼するか」を決める。50人未満の事業場は地域産業保健センターの利用も検討する。

つまずき3: 外国語で受検したい従業員への対応を確認していない

対策: 受検対象者の使用言語を確認し、必要な言語の調査票が用意できるかを依頼先に確認する。

つまずき4: 契約終了時の扱いを決めていない

対策: 4章の観点で、記録・データの扱いを契約前に書面で確認する。


6. COCKPITOSのストレスチェックでできること

COCKPITOSは、Webサービス型(A)に近い形でストレスチェックを提供しています。現在ご提供している内容は次のとおりです。

  • 実施者対応: 実施者対応は標準料金に含まれます。代表の一木信輔(所定の研修を修了した精神保健福祉士・ストレスチェックの実施者として10年以上の経験)が実施者を務める対応があります
  • 調査票: 職業性ストレス簡易調査票(57項目・80項目)に対応
  • 受検方法: Web受検(紙受検は準備中)
  • 個人結果: 本人向けの個人帳票(画面表示・印刷)。個人の結果は企業側には表示されません
  • 集団分析: SC単発には基本集団分析(全社1枚)が含まれます。部署別の詳細分析・経年比較などの組織分析はバンドルの対象です。個人が特定されない集計単位と、契約プランに応じて確認できる範囲を事前に確認します。人数条件は在籍人数ではなく、実際に受検した有効なデータ数で確認します。少人数の集団では個人を特定できない分析方法・表示範囲を実施者と確認します(厚生労働省リーフレット(2026年7月))。COCKPITOSの画面表示と5〜9名の運用は、確認済みの製品仕様を別途ご案内します。
  • 報告書: 労働基準監督署へ提出する報告書の様式出力
  • 高ストレス者への案内: 個人結果画面から、外部相談窓口や産業医面談の予約画面へ移動できます
  • 産業医向け画面: 高ストレス者一覧と面談を管理する専用画面があります。なお、産業医の個人結果の取扱いは、実施者・共同実施者としての関与や本人同意などの条件によって異なります。産業医であることだけで全員の結果を閲覧できるわけではありません(厚生労働省「ストレスチェック制度実施マニュアル」)

ご提供していないこと・個別相談になること - 医師による面接指導の依頼先・手配担当は、実施前に確認します。医師の自動手配機能や提携産業医ネットワークは提供していません - ストレスチェックの結果が、1on1・スキルマップ・研修管理などの他機能へ自動で連携されることはありません - 契約終了時のデータの持ち出し範囲や、他の依頼先からの乗り換え時の引継ぎは、ご相談の際に個別に確認します

料金と提供形態

最新の料金と提供条件は料金ページをご確認ください(表示価格はすべて税抜)。

  • 従業員50名未満の企業: ストレスチェック単発利用・単品モジュール(1on1・パルスサーベイ・スキルマップ)・6サービスのバンドルからお選びいただけます
  • 従業員50名以上の企業: 単品販売は行っておらず、ストレスチェック・パルスサーベイ・1on1・スキルマップ・研修管理・外部相談窓口の6サービスのバンドルでのご提供です
  • 金額・最低利用料金は料金ページをご確認ください(税抜)
  • SC単発には基本集団分析(全社1枚)が含まれます。部署別の詳細分析・経年比較などの組織分析はバンドルの対象です。個人が特定されない集計単位と、契約プランに応じて確認できる範囲を事前に確認します。

「まず一機能から運用を始める」ことと「一機能ずつ単品で購入できる」ことは別です。導入初期にストレスチェックから使い始めることはできますが、購入できる形は企業規模によって異なります。外部相談窓口と研修管理はバンドルに含まれるサービスで、単体ではご購入いただけません。また、研修管理は研修の計画・受講・修了を管理するソフトウェアの機能であり、研修そのものの実施は請け負っていません。

詳しい条件・追加サービスは料金ページをご確認ください。


7. 検討の進め方

Step 1: 自社の前提を整理する

  • 従業員数・事業場の数
  • 今の産業医・健診機関との関係
  • 受検者の使用言語、スマートフォン・PCの利用状況
  • 予算の上限

Step 2: 候補を絞る

1〜2章を参考に、自社に合いそうなタイプから候補を選びます。

Step 3: 見積もりと確認観点への回答を依頼する

3章の表を各社に渡し、「含まれるか/追加費用か/誰が担当するか」を埋めてもらいます。

Step 4: 画面や帳票を確認する

受検画面・個人結果の帳票・集団分析の出力を、デモや資料で確認します。

Step 5: 実施体制と社内ルールを決め、周知する

初年度は、実施体制と社内ルールを決め、従業員へ周知します。衛生委員会等がある事業場では審議し、設置義務のない小規模事業場でも関係労働者の意見を聴いたうえで進めます。その後、受検・結果通知・面接指導の案内へつなぎます(厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」スタートガイド p.2)。具体的な審議・検討事項は厚生労働省の実施マニュアルで確認できます。


8. よくある質問(FAQ)

Q1. 社労士に依頼すればストレスチェックを実施してもらえますか?

A: 社会保険労務士であることだけでは、ストレスチェックの実施者にはなれません。実施者になれるのは、医師・保健師、および所定の研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師等、実施者の要件を満たす方です(厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」)。社労士には、依頼先選びの助言や社内ルールの文書作成などで関わってもらう形が一般的です。実施者の確保についてはストレスチェックの実施者を外部委託するメリットと選び方で詳しく解説しています。

Q2. 産業医がいない50名未満の企業でもWebサービス型を使えますか?

A: 使えます。ただし、実施者を誰が務めるか、高ストレス者から面接指導の申出があったときに医師をどう手配するかは、事前に決めておく必要があります。50人未満の事業場は、地域産業保健センターに相談できます(こころの耳)。

Q3. 1人あたりの単価以外に、どんな費用がかかることがありますか?

A: 依頼先によっては、初期設定、紙の調査票の印刷・郵送、面接指導、集団分析の追加レポート、外国語の調査票などが別料金になる場合があります。3章の表で「追加費用か」を確認してください。COCKPITOSの追加サービスは料金ページに掲載しています。

Q4. 途中で依頼先を変えた場合、過去のデータは引き継げますか?

A: 依頼先によって異なり、必ず引き継げるとは限りません。持ち出せるデータの範囲・形式、帳票の保存、実施者の引継ぎを、移行前に双方の依頼先に確認してください(4章)。COCKPITOSへの乗り換えについても、引き継げる範囲はご相談の際に個別に確認します。

Q5. 2028年4月の義務化まで待ってから選んでもよいですか?

A: 義務化は令和10年(2028年)4月1日からですが、依頼先の選定、実施体制と社内ルールの決定(衛生委員会等がある事業場では審議、設置義務のない小規模事業場でも関係労働者の意見聴取)、社内への周知には時間がかかります(スタートガイド p.2)。余裕を持って準備を始めることをおすすめします。

Q6. 複数の事業場があっても1つの依頼先にまとめられますか?

A: 依頼先によって対応が異なります。事業場ごとの集団分析や、労働基準監督署への報告書が事業場単位で作成できるかを確認してください。


📘 ストレスチェック導入ガイド(PDF・全13ページ)を無料で配布しています

2028年4月の義務化に向けた導入の進め方を1冊にまとめています(厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」(令和8年2月)に基づいて構成)。印刷して社内で回覧したり、上司への説明・稟議の添付資料としてお使いいただけます。料金の記載はありません。

→ ストレスチェック導入ガイドをダウンロード(会社名・お名前・メールアドレス・従業員数などの入力と、個人情報の取扱いへの同意が必要です)

まとめ

外部実施機関を選ぶときは、タイプ名や単価だけで決めず、「今の契約に含まれるか/追加費用か/誰が担当するか」を項目ごとに確認することが大切です。特に、実施者、面接指導の手配、集団分析、報告書、契約終了時のデータの扱いは、契約前に確認しておきましょう。


ストレスチェックの運用について相談する → お問い合わせ(ストレスチェックのご案内・料金ページもあわせてご覧ください)

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✍️ この記事を書いた人

一木 信輔 | COCKPITOS株式会社 代表取締役CEO

社会保険労務士/精神保健福祉士・ストレスチェック実施者10年。各媒体で違う角度から発信しています。フォローはこちら:

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